蝶形骨の歪みに関係する骨格と筋肉

 蝶形骨は頭蓋の中心にあって、脳の台座としての役割を担っています。
 蝶形骨が歪むことは脳の不安定さにつながりますので、脳の働きが鈍る現象を招きます。つまり、脳内の血流や神経伝達に影響がでるということですが、それは計算能力の速度で感じることができます。
 九九を暗算する場合、脳の前頭葉に数字や式を浮かべることになりますが、蝶形骨の状態が良いばあいは、前頭葉に浮かんでくる数字のイメージが非常に早くなりますが、蝶形骨の歪みが大きく、あるいは脳内の血流が鈍い状態では、前頭葉に数字を浮かべる速度が遅くなるため、暗算そのものが遅くなってしまいます。

頭蓋骨の中の蝶形骨

 蝶形骨を整える上で、蝶形骨と関節している骨の状態が重要になります。
 蝶形骨と関節している骨は、後頭骨、前頭骨、頭頂骨、側頭骨、上顎骨、頬骨、篩骨、鋤骨(じょこつ)、口蓋骨の9種、14個です。

 上記の中で、直接触れることのできる骨は、後頭骨、前頭骨、頭頂骨、側頭骨、頬骨になりますが、篩骨は鼻骨と関節していますので、鼻骨の状態を通して観察することができます。

 

 さて、臨床の現実では、まず後頭骨と蝶形骨の関係を観察することが良いでしょう。次には側頭骨との関係を観察します。後頭骨と側頭骨は直接体幹や上肢からの筋肉が繋がっていますので、首から下の問題との関係を把握しやすいからです。

 次には上顎骨および頬骨と蝶形骨の関係を観察します。上顎骨を単独で考えたとき、歯茎の状態は影響力があります。つまり、他の骨との関係による影響を除外した場合でも、歯列矯正や歯科治療などの影響で歯や歯茎に問題がありますと、上顎骨が歪み、それによって蝶形骨が歪む現象が起きます。
 また、顔の中心部に力を入れやすい人は鼻骨周辺や頬骨、上顎骨周辺がこわばっていますので、その影響を受けている可能性があります。

 鼻骨は篩骨を介して蝶形骨につながっています。そして、鼻骨も他の骨格の影響ではなく単独で歪むことがありますので、鼻骨と蝶形骨との関係も確認する必要があります。
 鼻は呼吸器系の器官で、東洋医学では肺との関係が深いと考えられています。つまり肺や気管や呼吸に問題がありますと鼻骨が歪む可能性があります。
 実際、春先の花粉症の時期になりますと、多くの人の鼻(鼻骨)は下がります。胸骨や胸骨上の筋膜、肋骨との関節部分などが季節的影響を受けて変化しやすくなりますが、その影響で鼻骨が歪むという現象が起きます。

 前頭骨と頭頂骨の歪みの多くは他の骨との関係でもたらされていますが、脳の使い方(思考の場所など)、目の使い方などの影響でこれらの骨格が歪むことも考えられます。

頸椎との関係

 また、頭蓋骨の基礎である後頭骨は後頭下筋群や頭長筋を介して頚椎と関係しています。
 頚椎の捻れが後頭骨の歪みの原因になっている場合、まず後頭下筋群を確認するのが良いでしょう。

 第1頚椎と後頭骨の関係では、小後頭直筋と上頭斜筋の変調を整えることになりますが、第1頚椎は目の偏り、片噛み癖などの影響をによって変位します。
 また、第1頚椎の上関節面は後頭骨が前後にスライでできる構造になっていますので、歪みやすいと考えることができます。

 後頭下筋群の次は頚椎前面にあります頚長筋と頭長筋を整えることを勧めます。
 頭長筋は「うなずく」動作で使われる筋肉ですが、頚椎の前面と後頭骨を繋いでいます。後頭下筋群と頭長筋はセットになって環椎後頭関節で第1頚椎と後頭骨の関係に大きな影響力を持っています。

蝶形骨と関係する筋肉

 そしゃく筋の内側翼突筋は蝶形骨と下顎骨をつないでいますので、内側翼突筋の変調は蝶形骨の状態に直接関係します。さらに外側翼突筋も顎関節(下顎骨)と蝶形骨を結んでいますので蝶形骨の状態に直接関係します。

 内側翼突筋は胸鎖乳突筋の胸骨頭と連動しますので、胸骨―胸鎖乳突筋―内側翼突筋―蝶形骨という関連性が存在します。


 外側翼突筋は胸鎖乳突筋の鎖骨頭と連動しますので、鎖骨―胸鎖乳突筋―外側翼突筋―蝶形骨という関連性が存在します。

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