下腿と足部への施術②‥下腿外側面

 下腿の外側で着目すべきは腓骨、長腓骨筋、短腓骨筋、第3腓骨筋、長趾伸筋、足関節外側の靱帯などです。
 O脚、あるいはO脚気味の人がたくさんいますが、そのような人達は大腿骨に対して下腿(脛骨と腓骨)が外側にずれた状態になっています。それによって薄筋、半腱様筋、内側広筋など大腿部内側の筋肉がこわばりますが、それによる影響がもたらされます。
 またこのような場合は、小趾側に重心が掛かってしまいますので、短小趾屈筋、小趾外転筋などのこわばりによる影響や、内反小趾、足首のつぶれ、足を挫きやすいなどの状態がもたらされます。

下腿外側のこわばり(長腓骨筋、短腓骨筋、第3腓骨筋)

 O脚傾向の人は硬いが外側にずれ、さらに内旋している場合が多いので、背面から観察しますと、ふくらはぎが大きく外側に膨らんでいる、あるいははみ出ているように見えます。
 このような人達の場合、下腿外側が張っていることが多いのですが、それはどの筋肉のこわばりであるのかを正確に把握する必要があります。

下腿外側の筋肉

①長腓骨筋
 大腿筋膜張筋~腸脛靱帯と連動関係にあります。腕橈骨筋~前鋸筋~大腿筋膜張筋(腸脛靱帯)~長腓骨筋がこわばっていて、下腿(腓骨)が外にずれ、O脚になったり、膝の内側(薄筋など)が張っていることがよくあります。
(長腓骨筋は腓骨(腓骨頭)を起始としていますが、大腿筋膜張筋(腸脛靱帯)は脛骨の外側顆に停止しています。)

②短腓骨筋
 短腓骨筋は長腓骨筋と共に外果の下を回り込んで第5中足骨に停止しますので、外果の位置、第5中足骨の状態によって影響を受けます。基本的に長腓骨筋とは拮抗関係にあります。

③第3腓骨筋
 第3腓骨筋は腓骨の下方から起こり外果の前を通って第5中足骨に停止します。
 長趾伸筋とともに第3腓骨筋がこわばりますと、外果を前方に引き寄せますが、足関節で外果が前に出、膝関節では反対に腓骨頭が後方にずれている場合、その原因になる可能性があります。

 ガニ股やO脚傾向の人は太股を引き上げる(股関節の屈曲)ときに大腰筋や腸骨筋ではなく、大腿筋膜張筋を使ってしまう人が多いのですが、それによって大腿筋膜張筋~腸脛靱帯がこわばった状態になっています。
 そして、大腿筋膜張筋を使って太股を引き上げるためには同時に足の小趾側を背側させることが必要になりますが、この時に収縮させるのが第3腓骨筋(および長趾伸筋)です。
 ですから下腿外側が張っている場合、それがどのような関係性でもたらされているのかを把握することが、「何処を施術すべきか?」を知る上で大切です。

  1. 腕橈骨筋→前鋸筋→大腿筋膜張筋とこわばりが連動して長腓骨筋がこわばっている場合は、長腓骨筋と拮抗する短腓骨筋がゆるみ、それによて第5中足骨が不安定になって第3腓骨筋がこわばっている場合があります。
    この場合は腕橈骨筋や前鋸筋に対して施術することが適切です。

  2. 歩くときに、第3腓骨筋(および長趾伸筋)を収縮させて足を背側させることから歩行動作をはじめる人は、第3腓骨筋(および長趾伸筋)のこわばりが原因になっています。 そしてこのような場合、外果周辺の靱帯もこわばっていることが多いのですが、その辺りを揉みほぐすと強く痛みを感じる場合がありますが、施術は行わなくてはなりません。

  3. 第5中足骨には短腓骨筋と第3腓骨筋が停止していますので、第5中足ことが不安定な状態であれば両方の筋肉が変調を起こします。そしてこのような場合、当然腓骨が乱れますし、長腓骨筋も変調をおこしますが、腓骨に付着している大腿二頭筋、長母趾屈筋、長母趾伸筋などもおかしな状態になります。
    このような場合は、第5中足骨を整えることがポイントになります。

足関節周辺(外側)

筋膜と靱帯

 踵骨の内側も同様ですが、解剖学上、踵骨の停止部で終わるとされているヒラメ筋と腓腹筋が合流した踵骨腱は、その延長上で筋膜へ繋がりというかたちで踵骨を覆っています。
 踵骨の外側部には踵腓靱帯や上腓骨筋支帯、下腓骨筋支帯がありますが、その上をアキレス腱延長上筋膜が覆っていると考えるのが良いでしょう。

 すると、踵骨外側部を施術することは靱帯を施術することで踵骨と腓骨の関係を修復し、支帯を施術することで長・短腓骨筋に影響を与え、筋膜を施術することで腓腹筋とヒラメ筋に影響を与えることになります。

 

 

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